昔は「家族葬」なんて言葉は無かった
北村様におうかがいいたします。葬祭ディレクターの「1級」と「2級」とではどのような違いがあるのですか?
北村
わかりやすい部分で言えば、社葬や合同葬など、大規模な葬儀における司会の実技試験が1級の試験にはありますね。そのため、規模の大きな葬儀のノウハウが1級にはあるといえます。
なるほど。実技試験などもあるのですね。
北村
そうですね。審査員の前で司会進行などを行って、その進行を細かくチェックされます。
ちなみに、葬儀ディレクターのお仕事を始められてどのくらいになるのでしょうか?
北村
そうですね、もう27、28年ほどになります。
その28年間の間でお葬儀という業界で変わったと感じることはありますか?
北村
やはり、家族葬が増えてきたってことですかね。
そもそも家族葬っていう言葉は昔からあったのでしょうか?
北村
昔は「密葬」か「一般葬」かのどちらかしか無かったので、「家族葬」という言い方は近年になって言われ始めたと思います。
家族葬は最近の言葉なのですね。
北村
そうですね、コロナ前にはちらほら聞かれた印象は有りますが、コロナ禍になって拍車がかかって広まったという感じです。
昔は地域が主体でお葬儀を行っていた
昔の葬儀ってどのようなものだったのですか?
北村
地域が主体となって葬儀を行うケースが多かったです。お寺や公民館など使って、婦人会のようなお葬儀を行う組織が全て仕切って進行するような。そういった組織がそれぞれ地域毎に存在していました。お葬儀自体も祭壇のようなものは無くシンプルな設えの中、外部の我々は搬送や納棺などお手伝いする。今と随分違いますね。
故人を送る儀式を、その地区皆で行っていた。
北村
それが、近年葬儀場という専門の会場のようなものが出来て、地域の組織ではなく、葬儀会社が主体となって受付以外を仕切る形に変わってきました。現在も、その変化の中にいる感じです。
葬儀会社さんの役割も、地域の中での葬儀のあり方で変わってきていますね。
北村
そうですね。お寺や公民館、またご自宅などで行っていた葬儀の時は、近隣住民の方なども頻繁に来られて故人の前で遅くまで過ごす事が多かったのですが、他の方はすぐに帰ってしまうようになりました。
昔は、家族だけでなく近隣の方も故人とお別れする時間を大切に共有されていたのですね。
北村
昔は隣同士皆さんお知り合いでしたから、血は繋がっていないけど家族のような関係性があったことが大きいと思います。今は、そうした関係性は随分薄れているため、お別れをする考え方も当然変わるべくして変わってきたといえます。
お葬式のあり方は、時代を反映していますね。
北村
ただ、昔は良かった。というつもりはありません。時代ですから。ですが、こうした現代の環境の中で喪主となる身内の方や、ご家族の方には、最後のお別れの時間だけはしっかりと確保すべきという気持ちがあります。
変わっていく葬儀の形の中で、人季が守りたい変わらないものという感じでしょうか?
北村
そうです。形ではなく、最後に故人と過ごしていただく姿勢を大切にすることがお葬儀の意味のある所だと思っています。
人季の葬儀が大切にしている要素なのですね。
北村
そうです。
ありがとうございました。では、次の話題へ続きます。