ちょっといきなり別の話題へ
ところで、葬祭ディレクターには1級2級とありますが、全部で何級あるのですか?
楠
1級と2級だけです。簡単にいうと、葬儀の仕事に携わっている年数によってそれぞれの受験資格を得ることができます。
なるほど。
楠
なので私は今年(2024年)、1級を受験しようと思っています。
そうなんですね!頑張ってください!ちなみにその試験は、全国共通ですか?この資格を持っていると、基本的なレベルは同じということですか?
楠
そうですね。
グリーフ専門士とは
では、グリーフ専門士とはどのようなものですか?
楠
葬儀業界では、ご家族など大切な人を亡くされた方の悲しみをケアしようという資格です。
葬祭ディレクターと比べると聞き慣れない資格のような気がしますが。
楠
たしかに「グリーフ専門士です」と名乗ることは少ないかもしれません。グリーフ専門士の資格は試験ではなく規定日数の研修を受講することで取得できます。葬祭ディレクターとして勉強の一つではありますね。
葬祭ディレクターの多くが当たり前に取得しているものだったのですね。その「悲しみをケアする」というのは具体的にどのようなものなのですか?
楠
大切な人を亡くされた方の悲しみに対しては、私たちは基本的に「お話を聴く」ことしかできなくて、何かをアドバイスするのはダメと教わるんです。
「待つこと」なのですね。
楠
そうなんです。本当にお話をお聴きするだけなんです。相手は話すことでいろいろ吐き出せる、少しだけでも気持ちは変わるので、という感じです。
なるほど。
楠
どうしても感情の話になりますし、一人ずつ考え方も違うので、たぶん正しい答えというものはないんです。例えばAさんにこう言ってありがとうと言ってもらえたけど、Bさんに同じことを言ったら合わなかったとか、そういうことは当然あって。なのでこちらから何かをアドバイスするのではなく、まずはお話を聴いて「そうですね」と。そういう風に習っています。葬祭ディレクターはきっとそういうことを意識していると思います。
本題、葬儀の良い悪いについて
そうなると、どのような葬儀会社の葬儀も、その中にいる葬祭ディレクターさんたちも同じような知識、心持ちを習っているわけですよね。
楠
はい、そう思います。
すると、何が違うと葬儀の質が変わってしまうのか。今回のテーマである「葬儀の良し悪し」の要因はどこなのか、という疑問につながってきますね。
楠
たしかにそうですね。
同じ教育を経て、対応能力を学んだ葬祭ディレクターさんだとしても、実際世間の葬儀の口コミを見ると良し悪しが生まれてしまっていますよね。
楠
そうですね。臨機応変に対応しているつもりでも、実際はご家族の想いやご事情を汲みきれなかったのかなと。
持っている知識やレベルに優劣はなくても、葬儀手順や予算の制約の中で動かざるを得なかったり、喪主様とコミュニケーションが取れなかったり、要望が叶えられない状態になったり・・・。
楠
おそらくそういうことなのかなと思います。
人季や、楠さんの会社では、ある程度の「のりしろ」のような部分を踏まえられていて、喪主様から出てくる追加の要望や事柄を、その「のりしろ」部分を使って対応し、なんでも相談できる信頼関係づくりにも利用されているということなのでしょうか。
楠
そうですね。あと、葬儀をするだけが目的ではなくて、終わった後も含めてご相談に乗れるように、というのは思いますし。
実際にそういう方は多いですか?
楠
多いですね。たとえば1年前にお葬式をされた方から電話があって、今度一周忌をしようと思うんだけど、という相談を受けたりします。
それは、葬儀自体に満足して相談相手として身近な存在になった証ですよね。
楠
そうだったら有り難いことですし、良かったなと思います。
なるほど。ありがとうございます。次の話に続きます。