最近の葬儀に対して、ドライに考える人が出てきたなあという印象がありますが実際はどうですか?
楠
お通夜なしの一日葬を希望される方や、お通夜のあと式場で宿泊をされない方が最近少しずつ増えてきた気がします。
なるほど。
楠
あと、棺を選ぶ時にも、どうせ燃やすのだから特にこだわらない、安いものでいいという方も多い印象です。ドライというかシビアというかそのように考える方が若い方に増えているのかもしれません。
若い方というのは何歳くらいの方?
楠
ちょうど現役世代、40代、50代くらいの喪主さんという感じですね。
そういった考え方の変化にはどのような原因があると思いますか?
楠
我々現役世代は上の世代の方よりも近所付き合いも少なくなっていますし、お葬式も近しい方だけでするので、正直なところ見栄を張る必要もないといいますか・・・。
なるほど。
楠
あと、やはり金額的な部分も大きいのかもしれません。なるべくお金は使わないでおこうと。
なるほど。ただもちろん寂しすぎる葬儀は嫌という。
楠
そうなんです。お金を使いたくないというより、抑えられる出費は抑えたい。
そのあたりがドライと思われる部分ですね。
楠
私が入社したのは5年近く前になりますが、その当時は通夜のあと宿泊しない方はいらっしゃらなかったけれど、今は少しずつ増えてきています。
それほど費用に影響する部分でもないように思えますが。
楠
そうですね。身体のことを考えると疲れが取れないので家に帰ったほうがしっかり休めますし、そういったことも含め、考え方の変化なのかもしれません。
お通夜をしない最近の事情
お通夜をしないという方についてはどうですか?近所との付き合いの希薄さが影響しているのでしょうか?
楠
そうですね。あとはやはり亡くなられた方の下の世代の方が、近くに住んでいないということもあると思います。子どもさんたちが県外にいらっしゃってお葬式の時に帰って来るということが結構あります。
なるほど。
楠
そういうことも影響しているのかな。お通夜をするとなると滞在期間が長くなるので。
仕事に戻りやすい?
楠
そうですね。特に東京など関東から戻って来られる方からお通夜はいらないと言われることがあるので、東京ではお通夜なしの一日葬が多いのかな。
都心などで生活する中で感じる葬儀の印象なのかも?
楠
そうかもしれませんね。ただ、グリーフ的な意味からもお通夜自体はしてほしいなと私は考えています。故人と過ごす最後の夜なので、皆さんで生前のお話をしたりして、それがグリーフにもつながると思っているので。
そのグリーフ的というのは、亡くなられた方に対する各個人それぞれの悲しみだけでなく、そこに集まる人みんながお互いにその思いを語り合う時間というのがお通夜にはあって、その時間を経て翌日の葬儀に臨むことでご家族にとってより良い葬儀になるということですね。
楠
そうですね。やはり後悔してほしくないというか、終わったあとで「お通夜をしておけばよかった」と思っても後戻りできないので。
そうですよね。
楠
そういった意味でもお通夜はしていただきたいなぁと感じています。
では、「お通夜って必要でしょうか?」と聞かれたら?
楠
もちろん強制することはしませんが、お通夜への考えや思いをお伝えするようにはしています。
たくさんの葬儀を経て、お通夜の大切さというのを感じる面があるのですね。とはいってもご家族それぞれなので・・・。
楠
そのとおりです。
次の話に続きます。